死海写本

解説

800からなる文書の総称で、世界で最古の聖書であると言われているものです。

1947年に、ベドウィンの少年が素焼の壷におさめられた巻物を発見したことをきっかけとして、イスラエルの死海北西岸のクムラン洞窟群を中心にヨルダン各地で発見、発掘されたことからこの名前が付けられました。歴史的には紀元前2世紀から紀元後1世紀に書かれたもので、発掘当時までは1008年のものが最古の聖書の写本とされていたため、驚くべき発見となりました。

実物は、羊皮やパピルス等に大半がヘブライ語やアラム語、ギリシア語などで書かれており、旧約聖書のほぼ全巻にわたる断片や多くの旧約聖書の注解などが記されています。そして特に意義深いのは、「イザヤ書」の全巻や「エステル記」を除く全ての旧約聖書の断片が発見されたことで、これによりイエス・キリストの時代と現代のヘブライ語聖書原文の言葉に、ほとんど相違がないということが確認されたことで、それは聖書の言葉がいかに正確に現代まで伝えられてきたかということの偉大な証しともなりました。

この死海写本によって、聖書が私達人類に大きな影響を与え続けてきたことが証明されるのです。

豆知識

★聖書翻訳の歴史
一冊の聖書。それがどのように書かれ、守られ、伝えられ、今日まで保存され、翻訳され、さらには印刷・製本されてきたのでしょうか。そこには聖書の壮大な歴史と、物語が秘められているのです。

聖書がどのようは筆記用紙に、どのような素材を用いて書かれたのか現在知られているのはヴェルム(皮紙)とパピルスです。ヴェルムの中でもパーチメント(羊皮紙)が良く知られていますが、羊皮紙は子羊や山羊、羊の皮を石灰溶液に浸し、脂肪分と毛を除いて石灰で仕上げたものです。またパピルスはエジプトのナイル川デルタ地方などに見られるカヤツリグサ科の植物で薄い長方形に切り縦横に重ね、圧力をかけ天日で乾燥させると、薄くてしっかりした筆記用紙ができるのです。これを張り合わせて棒に巻き付けて一巻とするそうです。中には30mにも及ぶ巻物があったというのですから驚きです。しかしそのような巻物を読むのは大変でしたので、綴りの本(コーデックス)が用いられるようになりました。聖書が使いやすくなり、さらに両面に書けるということで、経済的にもかなり聖書の普及の陰の働きとなりました。

1947年に発見された「死海写本」も羊皮紙が用いられていて当時を偲ばせてくれます。「死海写本」のイザヤ書は長さ7メートル半ほどにイザヤ書66巻全体が書かれています。この巻物は布で包まれ、壷におさめられていました。それは「素焼の器に納めて長く保存せよ」というエレミヤ書32章14節の聖書の言葉が著すとおりです。ぜひ聖書の御言葉に親しみ、神様の豊かな愛を体験していただきたいと思います。

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